自分探しの本質がわかる一冊「自分探しと楽しさについて」

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好きな作家のひとり森博嗣先生。物事の本質を捉える力と文章として表現力が魅力。

 

自分探しと楽しさについて 

 

個人的にも自分探しというのは、学生時代からずっと続いている人生の大きなテーマ。30歳になった今でもずっと自分探しを続けている。

 

この本はタイトルの通り「自分探し」と「楽しさ」というテーマで書かれています。

 

パッと見たときこの2つがどう関係してくるのか分からなかったのですが、本書を読んで納得。自分とは…楽しさとは…両者の関係性とその本質が見えてきます。

 

自分探しをしている人や楽しさが見つけられない人にぜひ読んでもらいたい一冊。

 

そんな本書を自分なりの解釈も含めて印象に残ったポイントをまとめていきたいと思います。

「自分」とは他者との関係性から生まれる

他者という存在があって初めて自分という存在がわかります。

 

自分の能力というものも他者と比べることで優れているのか、劣っているのかを自分自身で判断します。

 

ではなぜ人は自分らしさを追い求めるのだろう?

 

他者から見た○○さんってこういう人ですよね、という他者からの認識と本来の自分とが大きくかけ離れている場合に人はギャップを感じてしまいます。そのギャップが大きいほど自分らしくないのだと感じます。

 

本来の自分と他者から見られる自分のギャップを埋めるにはこの2つの方法があります。

 

・他者から認識されている自分を本来の自分に寄せる

・本来の自分を他者から認識されている自分に寄せる

 

自分を周りの評価に自分を合わせていくのか、もしくは自分らしくあるため理想の姿になるように周りに働きかけるのかということになります。

「自分探し」=「楽しさ」という意味 

自分らしくありたい…という人の自分らしさとはそもそも何なのでしょうか。

 

自分らしさとは理想の自分ということ。理想の自分がどういう状態のときのことをいうのか…それは楽しいことをしている時の自分を想像するのではないでしょうか。

 

自分探しをしている、自分らしく生きたい…そう願うのであれば一番の近道は自分を楽しませること、好きなことをして生きるということが自分らしく生きるというゴールに行き着くのだろうと思います。

 

自分らしく生きられていないということは楽しんで生きられていないということなのかもしれません。

「楽しさ」とはどういったもの?

どうすれば楽しさを見つけられるのでしょうか?「楽しさ」という抽象的な言葉、そもそもどういったものなのか?を考えます。

 

休日に「これしたいなぁ、ここに出掛けようか」といった考えを膨らませるのは楽しいものです。「やらなければならない…、~しなければならない…」といった義務感からやるものは得てして楽しいものではありません。

 

両者の違いは能動的であるのか受動的であるのかという違い。前者は体の中から沸き起こる自然に出てきた欲求に対して、後者は「やらなければならない」という義務感から行動に起こします。

 

「やらなければならないこと」でスケジュールが埋め尽くされてしまうと、本来自然と湧き出てくる「~したい」という欲求を満たさないまま生活を送ることになります。

 

社会的な責任と自分のやりたいという欲求のバランスを取ることが大切。

パッケージ化された「楽しさ」

本来「楽しさ」自分の中に見出すものですが、現代は商品としてパッケージ化して用意された「楽しさ」が増えてきています。

 

著者は工作を例にとってあげています。「工作セット」として加工された木材、必要な材料、組み立ての手順まで事細かに説明があり、手順通りに進めていけば完成できる。

 

メーカーが利用者の手間を省くために様々な工夫を凝らし製品を作っています。しかし生活が便利になればなるほど、利用者は創造力を働かせてなにか行うということが少なくなっているような気もします。

 

パッケージ化された「楽しさ」を売る商品は、創造力を働かせて楽しむ過程を失くしてしまっているのかもしれません。

 自分と他者と比較することをやめる

「楽しさ」とは本質的には自分の中から湧き出るようなもの。

 

 人と競争したり勝負し買った負けたという中で楽しさを感じることもあるかもしれません。他者との関係性の中で「楽しさ」を得るということは、それはつまり他者に依存していることになります。

 

勝負事においても勝負の勝ち負けや能力の優劣で比較するよりも、その過程で得られたものや個人の成長に「楽しさ」を感じたりするほうが健全な楽しさではないかなぁと思います。

仕事は「楽しさ」を抽象化して考える

仕事に「楽しさ」を見出せないという人は多いと思います。

 

本書の中で著者はペンキ塗りが好きであるということを書いています。ペンキ塗りのどういったところが好きなのか?それを抽象化して考えていきます。

 

ペンキ塗りの「ひとりで黙々と作業すること」が好きであったと書かれています。これまでの研究者としての仕事、現在の作家としての仕事は「ひとりで黙々と作業すること」という要素が含まれています。

 

仕事に楽しさを見出せない時には、自分が感じる「楽しさ」を抽象化して考えてみると良いかもしれません。

お金は「楽しさ」を生まない

テーマパークで「楽しさ」を提供してくれることはあります。人を楽しませるために作られたアトラクション。しかし決してお金を払うことで自分の中にある「楽しさ」が見つかるわけではありません。

 

「お金がある人は好きなことができて良いよなぁ~」楽しいことができないいのはお金がないせいだ。

 

楽しさを求めれば、金は入ってくる。真剣に楽しみを実現したいと思う人は、自然に金持ちになっている。(中略)金が楽しみを生むのだはなく、楽しみが金を生む。この原理を間違えなければ、きっと大丈夫だ。

 

突き詰めて考えると「楽しむ」ことが「お金」を生む。楽しんでいる人の周りには「人」が集まり「信頼」が集まり結果「お金」が集まる。これが本質的な原理なのかもしれません。

 

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まとめ:「自分探しと楽しさについて」

本書の内容を要所要所気になったところを、私というフィルターを通してまとめています。

 

本書の魅力をすべて伝えきれていませんが、「自分探し」と「楽しさ」について核心となる本質的なことがわかる一冊だと思います。

 

自分探し中で進路や就職に迷っている…生きることへの楽しみを見つけられない…そんな人にこそ読んでもらいたい一冊。

 

きっとなにか気づくこと、得られるものがあるはずです。

自分探しと楽しさについて (集英社新書)

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